2022/3/24
半導体業界は. この30~40年で大きく変わりました. 1980年頃. 一部の大手半導体企業は. 製品の設計・製造だけでなく. 製造装置や社内EDAツールまで自社で作るなど. 強い垂直統合を進めていました. 現在では. ほぼすべての半導体企業がサードパーティの装置を使用してICを製造し. サードパーティのEDAツールやIPを使用して設計を行っています. 半導体産業の分業が起こった主な理由は. オープンスタンダードの使用によるものです オープンスタンダードの定義に明確なものはありませんが. 一般的には. 合理的かつ差別なく利用可能であることです. 多くの場合. 特にSoC設計では. そのような仕様はロイヤリティフリーで利用可能です. 多くのオープンスタンダードは企業ではなく. IEEE. OSI. IETF(インターネット技術タスクフォース)のような独立した団体が所有しています. このような場合. 仕様のさらなる開発は. 広く参加者を募ったオープンなプロセスで行われます

オープンスタンダードとSOC設計
SoCのオープンスタンダードは. ハードウェアとソフトウェアの両面から検討する必要があります. 組み込みソフトウェアでは. C言語とC++言語がオープンスタンダードとして確立されています. そのため. ミドルウェアやリアルタイムOS(RTOS)は. これらの言語を使用したソースコードが提供されることが多いです. プロセッサまたはペリフェラルへの依存度が高い場合には. 多少の移植が必要になることもありますが. 一般的には設計チームが対応可能な範疇です 現在の多くの機器. 特にIoTでは. SoCは有線または無線通信を備えています. このようなリンクには. イーサネットやBluetooth LEなどのオープンスタンダードに基づく通信プロトコルが必要です. また. このようなネットワーク機器は何らかのセキュリティを必要とする可能性が高く. ここでもオープンスタンダードの採用により. セキュアな通信が可能となっています デジタルハードウェア設計では. マイクロアーキテクチャをハードウェア記述言語で記述します. VerilogとVHDLはともにIEEEのオープンスタンダードで. RTL記述からゲートレベルを合成します. プロセッサとペリフェラルはAMBAバスで接続されることが多く. これはArmが所有する一連の規格ですが. ロイヤリティフリーで利用できます 検証には. 多くの場合. 業界団体Accelleraが管理するオープンスタンダードのUVM(Universal Verification Methodology)が使用されています. パワーインテントはUPF(Unified Power Format). これもAccelleraの仕様で表現することができます 最後に. 物理設計レベルでは. シリコン製造のためにレイアウトが必要となります. 数十年にわたり. GDSII(元々はCalma社が開発)が主な交換フォーマットとして使用されてきました. 最近では. レイアウトのオープンスタンダードとしてOASIS(Open Artwork System Interchange Standard)が使用されています
オープンスタンダードの利点
オープンスタンダードは. 産業界に多くの利益をもたらしてきました. 第一に. チップ間. ソフトウェアパッケージ間. 設計ツール間の相互運用性を実現しました. これによって分業が可能となりました 第二に. オープンスタンダードがあれば. 製品やベンダーのエコシステムが発展する可能性があります. 例えば. C言語では. ソフトウェア開発ツールやミドルウェア. 組み込みソフトウェアの再利用を目的としたRTOS製品などが多数提供されています. ハードウェアレベルでは. Verilog. UVM. OASISなどのオープンスタンダードを利用したEDAツールが数多くあります. これは. 開発チームがベンダーを幅広く選択でき. 単一のベンダーに依存する必要がないことを意味します 第三に. オープンスタンダードであれば. 一通りの仕様は既に完成されており. 製品メーカーは実装による差別化に注力することができます しかし「部屋の中の象=いままで腫物のように話題にされていなかったこと」は. オープンスタンダードからは明らかなギャップがありました. ISAは. ハードウェアとソフトウェアの間の重要なインターフェイスを表しますが. これは今までほぼ独占的にプロプライエタリISAが保持してきました